(エッセイ)情景(掌篇)北海道浜中町にて②
僕らは、太平洋に面した浜中町の小さな入り江で、石拾いに熱中した。海の波に表面が磨かれ続けて、それは丸くつるつるになっていた。赤や黄色や緑や紫や白の、錦鯉みたいな、絢爛たる風情だった。鉱物学ではジャスパーと呼ばれる種で、石英に不純物が混じったために、様々な色が生じ、不透明な塊になったものらしい。日本名では碧玉。一般には錦石とも言われる。
耳が千切れるくらいに、風が冷たかった。石を拾うために腰を曲げ、頭を下に向けていると寒さがだいぶ防げた。だから、僕たちはなかなか石拾いを止めることができなかった。塩辛い波しぶきが頭にかかった。陸の方からドライアイスの煙のような濃厚な霧が流れてきて、前方の屹立した崖の上方を覆い隠しはじめた。その霧から勢いが強く荒い雨粒がばらばらと落下してきた。この地方沿岸の気候の特色で、陸から次々と霧が供給されるので、押された霧は海へと這い出す。
(了)
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